2016-06-07

藤崎竜版「銀英伝」で銀河の歴史にまた1ページが。

ようこそ。Scriptaをご覧いただきましてありがとうございます。
キサラギ@kisaragi_Virです。

いわなくて後悔するよりは言って後悔するほうがいい
ヤン・ウェンリー

銀河英雄伝説、っていうと名前は聞いたことがあるけど、実際に読んだことがない、っていう方が結構多い作品じゃないかと思います。もっとも、年代的にも1980年代の作品ですので今の若い方はタイトルさえ聞いたことのない世代が出てきていても不思議じゃないわけですけど。

通称「銀英伝」。田中芳樹さんの代表作のひとつ。日本におけるスペースオペラの先駆け、SFの金字塔、まあ、いろいろと賛辞の言葉はあるとは思いますが、驚くほどの登場人物の多さ、語られる政治的な理念、重厚なストーリーテリングと子供に媚びない作風で、長いことファンを獲得し続けている作品です。
Reinhard
とはいえ、とにかく取っ付きにくいのも事実。小説だって完結まで10巻。外伝ほかを入れると更に増えますし、文字読むの面倒だわ〜、アニメもあるんでしょ、っていうそこのあなた。ありますよ。本編だけで28巻、全110話。全話で約2750分、時間に換算すれば約46時間、日にちに換算すれば約2日!(くどいわ!)とんでもなく長い時間見ることになること請け合いです。

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僕も昔はよく小説版を読んだものですが、最近はとんと本を開くこともなく過ごしていました。でも最近なぜか「銀英伝」の名前を聞くことが増えてきてのでちょっとだけ気にはなっていたんです。これの原因として、まずは「去年あたりからアニメのリメイクをしているらしい」という話。これはすぐに2017年の公開が決まったというニュースで知ることになりまして僕も驚きました。

新アニメプロジェクト「銀河英雄伝説」公式サイト

主要なキャストの声優さん、多くが鬼籍に入っていますからねえ。これはあとから喧々諤々の大論争になる予感しかしませんけど…。

それから今年の春先にはDMMからオンラインゲームがリリースされています。ファンには懐かしいシミュレーションゲームになっていてそこそこ人気のようですね。(こういうゲームにまで乗っかれてないあたりがファンとしてはヌルいんだと自覚はしていますが…。)黙っていてもMacのsafariでブラウザに広告が頻繁に出てきますから、まあ気になりますw。

んで、ここからが今回のおはなし。

これも2015年の後半くらいからなのかな。ヤングジャンプで漫画版のリメイクが連載開始されていました。まとめて単行本になった第1巻が2016年の2月。正直、ふだん週刊誌を全く読まないので、連載が始まってもそうそう漫画を見る頻度っていうのがありませんけど、単行本とかになれば売ってるタイミングで最寄りの本屋でひょいと拾えばいいので、そこでなんとかギリギリ追いついている体たらくではあります。

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それで昨日2巻目が発売されているらしいのをどこぞのネットで読みましてまた買ってきて読んでいたわけですけど、読んでみてなかなかに考えることがあったのでつらつらと書いてみようと思った次第です。

漫画を描かれているのは「封神演義」で有名な藤崎竜さん。銀英伝も元は「三国志」がベースになっている部分が多いそうですから、深いところで中国の古代小説繋がり、ということになりますね。あの難解な封神演義を独自の解釈でアクション満載のヒーローアニメとして見事にヒット作にまで押し上げたそのイメージの変換能力、こういう作品でもきっと才能を見せつけてくれるんじゃないかと期待しています。

具体的に面白いな、と思うのはシナリオ自体を原作とはガラリと変えてしまっているところがひとつ。原作だと主人公であるラインハルトとヤンが戦場で会い見えることから物語が動き始めるんですけど、漫画版では、それぞれの若き日の成長から始めることになっています。

最初は「原作と違うやん、この順番で面白くなるの?最初から死力を尽くして戦うから燃えるんじゃないですかあ!」とまあ、原作厨らしく憤ってみましたけど、こういう順番で為人を重ねた結果としてやがて戦場でぶつかり合う、っていう展開もなかなかに期待できますね。

このことに関しては藤崎さん自身がインタビューで、原作通りにネームで描いた結果、「違うな。」と感じたそうで、「大河ドラマ風に」描くことで今のシナリオ構成になったようです。

「銀河英雄伝説」特集、藤崎竜×田中芳樹トーク (1/3) – コミックナタリー Power Push

ついでに書くと、この順番でシナリオを描いて頂くことによる僕得な案件は、本来だと外伝でしか描かれていない部分のシナリオも、本編の一部としてちゃんと機能することにあったりするんですけど、特にヤンが所属する同盟軍側の「ユリアン・ミンツのイゼルローン日誌」がちゃんと描かれていきそうなことに無上の喜びがあります。(この部分はアニメ化されていない…はずなんだけど…。)漫画ベースででも描いていただければすごく嬉しいですし、いっそこの流れで来年のアニメもやってくれれば最高なんだけどなあ。なんとかならないかなあ。…まあ、ここはこのくらいにして。

それにキャラクターも大幅にデザインが変わってきていますね。このあたりはファンによって評価の分かれるところになるんだとは思いますけど、今の時代に合わせた流れとして僕は歓迎しています。ラインハルトの常人ならざる野心に燃えた双眸、対するヤンの慈愛溢れる眼差し、なんとなくですけど描きたいイメージが伝わってきますので、この先のキャラクターがどういう風に成長していくのかを見るのが楽しみです。

 

まだシナリオとしては序盤も序盤。これからさらに個性的なキャラクターがどういう風に味付けされて出てくるのかにも興味がありますし、どういう順番でシナリオを切り出してくるのか。細かいところだと軍服のデザインなんかも変えてきている部分があるみたいですし、こういうのはどんどん挑戦していけばいいと思います。

2巻までではまだ描かれていませんけど、戦艦の艦橋内なんかはいっそのこと別物くらいに変えてくれたら個人的には嬉しいですね。(ここは多分異論が多いはずだけど。)さすがに20年以上前のデザインじゃあ、せっかくリメイクしている意味がありませんし…。
連載としてどこまで続くのかはわかりませんけど、こんな機会なんて今後にある可能性なんてほとんどないと思いますから、思い切っていろいろやればいいと思います。
当然、挑戦すればするほどに異論やら意見なんかは出てくるでしょうけど、そういう人は原作を観ておけばいいわけですから、あまり気にせずやってほしいものです。

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願わくば名作の復刻、この機会に一人でも多くの若い世代にスペースオペラの面白さを知ってもらえたら。それで共通の話題がいっこでも増えたら嬉しいな、と思う今日この頃です。

3巻は8月だとか。またひとつ、楽しみができそう。

よければまた観てくださいね。それではこのあたりで。merci ♪

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