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Shure 535を買ったのでイヤフォンスパイラルを振り返ってみたよ。

Shure 535を買ったのでイヤフォンスパイラルを振り返ってみたよ。

ようこそ。Avenir.infをご覧いただきましてありがとうございます。
キサラギ@kisaragi_Virです。

Music is well said to be the speech of angels.

Thomas Carlyle

世の中には色々な趣味の深さに応じた通称「沼」があります。だいたいが嵌るまい、嵌るまい、と思いつつ沼のほとりで生きているんですけど、時折何を間違えたか深いところに飛び込んでしまうことがあるので困ったもの。今回は僕が何を間違えて沈んだかよくわからないイヤホン沼への沈み方、俗にいう「イヤフォンスパイラル」のお話でございます。




僕がイヤフォンを愛用するようになったきっかけを振り返るに、大きく貢献しているのはやはりAppleの「iPod」が発売になったあたりだと記憶しています。それまでもCDプレーヤーWalkmanDAP(デジタルオーディオプレーヤー)はあって、それなりに買ってはいたんですが、その時代はまだ本体側の性能が大事だと思っていましたし、イヤフォンを変えるだけで音質が極度に変わる、などという発想がそれほどなかったので特にこだわってはいなかったのです。つまり沼の存在自体を知らなかったわけです。それで終わっていればある意味このカルマに囚われず、幸せに一生を終えることができたのかもしれません。
※以下の<水深>は個人的感覚で割と適当に書いてます。

<水深30cm> audio-technica ATH-CK5

音質を意識してイヤフォンを買いはじめたのは多分この辺りからです。audio-technica社のATH-CK5(生産終了)どこの家電店でも割と置いてたメジャーなやつです。Appleが白いイヤフォンケーブルのiPodを発売して、世にカラフルなケーブルが出回り始めた時期かとも記憶しています。お値段にして3,000円くらいかと。Apple純正イヤフォン以外で試しに聴いてみたらおもいのほか音質が良くて、「さすがにオーディオメーカーのイヤフォンはよくできている。」という気づきを得ることができたのがこの時期です。イヤーチップの交換が色々できるのも楽しかった。現行だとCKR50あたりが近いのかな。沼の水際でキャッキャウフフしていた楽しい時代です。健全な水遊びと言えるでしょう。
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<水深100cm> Etymotic Research ER-6i

オーディオテクニカの時代は結構長くて断線しても同じものをリピートして買っていましたし、何の不満もなかったのですが、時代は高級イヤフォン市場が育ちつつある時期に差し掛かっておりました。そんななかでエティモティックリサーチ社という補聴器メーカーがこだわったイヤフォンを作っている、というのをネットで見たのが次の沼へのきっかけだったと言えるでしょう。いくつか種類があるなかではエントリーに近いER-6i(生産終了、アクセサリーのみ扱いあり)というタイプのモノを選びました。3段フランジ、と呼ばれるこの手の高級機によく使われているイヤーチップを装着することによって抜群の遮音性を体感することができたのが感覚としては印象的でした。音質も繊細で、僕にとっての高級イヤフォン時代が本格的に幕を上げた、と言えます。現在でも上位機種のER-4Sは人気がありますね。沼のちょっと深いところで泳ぎ始めてます。

でも大丈夫。底に足がついてるし、まだ岸辺に帰れる安全な遊泳域にいるよ。

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<水深300cm> Ultimate Ears Super.fi 5 Pro

ER-6iの沼は僕にある一定の満足を満たすことができましたが、繊細な音質に反面、迫力に欠ける部分も感じていました。つまりもっと僕に合ったイヤフォンがあるのではないか、と考え始めたのです。ドラゴンボールを7つ集めて神龍を呼びたい孫悟空状態なわけです。この世はでっかい宝島です。
そんななかでこの問題を解決するために選択したのがこのアルティメットイヤーズ社(現在はロジクール扱いなのかな…。)のSuper.fi 5 pro(公式HPはもうないですね)BA型(バランスドアーマチェア型)と呼ばれる種類のイヤフォンで、2Wayドライバと呼ばれるイヤフォン内で高音と低音を分けて出力することで更なる高音質を体験できる。という情報。海外の有名アーティストが絶賛、みたいな謳い文句もなかなかにそそられます。こちとらプロでもアーティストでもないんですけど。
「すげえ。そんなことがこんな小さなイヤフォンの中でできるのか。技術は進化しているなあ。」と思ったのと買ったのは脊椎反射みたいなもので、値段はちょっと気になったけど後から得られる幸福感からすれば小さな問題であったと言えるでしょう。現在はロジクールがハイエンドモデルとして4基のBAドライバを搭載したUE900sを販売しています。これも性能の割にお手頃価格なのでファンが多いです。

ここまでですでにだいぶ沖の方まで泳いできた感があるね…。

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<水深500cm> SENNHEISER IE8 / IE80

Super.fi 5 Proはかなり長い時間、僕のオーディオライフを幸福で満たしてくれました。ちなみにこのあたりの時代から音源のビットレートにも気を使うようになっています。世間でも「ハイレゾオーディオ」という言葉が多くなってきた時期です。この頃には既にSuper fi. 5Proにも不満がないわけでもなかったのです。それはこの手のイヤフォン特有の装着感に難を感じることです。
一回装着すれば安定するのですが、サッとつけてサッと取る、とはいかないんです。それと僕の耳にジャストで当てるにはちょっとイヤフォンのユニット自体が大きいのではないか、と思い始めたのです。「もっと気軽に楽しく音楽を楽しむことができるイヤフォンはないのか?」人類は常に疑問から新しいモノを発見する生き物です。僕も脊椎動物の端くれとしてこの「疑問」に対する答えを探し始めました。この人類の疑問に対する天啓を与えてくれる聖域を僕は知っています。ヨドバシカメラ、という神殿は信者にとって何が救いになるのか、正しい答えを常に与えてくれるのです。寄進さえきちんと行えばみんな幸せになれますからご利益も素晴らしい。
そこで手に取ったのがドイツのゼンハイザー社が発売していた「IE8」と呼ばれるイヤフォン。これまで僕が使っていたBA型とは逆にD型(ダイナミック型)と呼ばれる方式で、まあ、一般的に販売されているイヤフォンは大体がこの方式だったりします。D型は音の歪みが少ないことと低音の再現性に優れていますが小型化するのが難しい。と言われていますが、このIE8に関しては小型化と音場の広さ、低音の響きを両立したものすごいイヤフォンで、なおかつ装着した質感が僕にバッチリとフィットしたのです。そのうえ、この小型イヤフォンには低音調整用のダイヤルまでついているので自分好みにセッティングできる、という至れり尽せりぶり。まさに耳から、いや、目から鱗が落ちるとはこのこと。もはや買わない理由がないのです。値段?何のことでしょう。これは人類が生きていくのに「必要なモノ」なのですから持っていて当然のモノなのです。
しばらく使ったところで後継モデルのIE80が発売になった際も当然チェックしておりました。IE8よりも高音域が鮮やかに鳴る、とレビューで読んでいましたから聴かないわけにはいきません。聴いたからには買わなければいけません。当然のことです。更に上位のIE800という機種もあってこれも大変すばらしい音質ではあるんですけど、リケーブルができないことと僕の耳には合わなかったので見送っています。

もはや陸地が見えないところまできてますが、帰りかたがわからないのでもはや進むしかないのです。

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<水深800cm> Shure 535

IE80は素晴らしい福音を奏でる神機である。これは間違いありません。まるでフランスのうら若き乙女が葡萄を足で踏んで極上のワインを作るように丁寧に仕上げられたイヤフォンは僕のイヤフォンスパイラルに終止符を告げるものであると考えていたのです。
さすがにこれ以上のモノを買ったところで僕の耳では聴き分けられないオタクの世界なはずだし、いい加減コスパに合わない、とここに来て初めて「常識的な判断」ができていました。エヴァンゲリオンMAGIシステムで言うところのバスタザールカスパーが承認してもメルキオールが否定する、といった類の極めて冷静な判断です。よく考えなくてもIE80で1個約4万円です。これだけあったら色々他のものを買えてます。3千円のイヤフォンで満足していた時の10倍以上の金額を投資しています。自制してしかるべきところなのです。
しかし、世の中には情報が溢れています。溢れすぎているのです。見ないようにして生きていてもいつの間にか関連の記事を読んでいるもので、読み終わった後に「何でこの記事読んじゃったんだろ…。」と思うことがしばしば。例えるならプロボクサーが試合直前の減量が苦しくてサンドイッチ持ってブルブル震えているあれです。
ちょっと前にブログのmonographさんで紹介されていた、最新のBluetoothイヤフォンがエモい。みたいな記事があったので読んでいたんですよ。まだBluetoothイヤフォンは持っていませんから興味はあったのです。女子のよく言う「甘いものは別腹」理論です。お腹いっぱいシュラスコをおかわりしてもデザートのパンケーキはペロリと入ります、っていうやつでBluetoothイヤフォンはノーカンなんじゃないかと思ってヨドバシに視聴しにいったんです。ここまでは何も矛盾はないです。
それでお店に行ったんですけど、同じモノがなくて何か似たやつにしようかなあ、と思いつつ売り場を物色していたところふと気になったのがシュアー社のイヤフォン。「シュアー掛け」と呼ばれるケーブル回しを世に広めた業界最大手の一角を担う大ブランドです。ここの沼は深いことを知っていますから、今までは見ていても見なかったことにする僕のなかの「不可視領域」に指定していたのです。
視聴機ブースにあったShure 535。なぜかこの時は見えてしまっていたんですよね…。けっこう前からあるシュアー社のハイエンドに近いモデルです。よく識っています。ここでニーア・オートマタの2Bちゃんみたいに目隠しでもしておけばよかったんです。
「これを視聴したらダメになる。」まさに禁断の果実であります。それを何気なく齧ったのが最後でした。圧倒的に鮮やかなヴォーカルの伸び、BA型ならではの遮音性、そしてフィット感が抜群に良い。音場は若干狭くは感じますが変に誇張された部分もなくフラットな音質は聴き疲れすることがありません。様々なレビューの記事は読んでいて事前に情報を入れてはいました。このフラットな音質というのは賛否両論あるようですが、僕は賛成派でした。実に素晴らしい。
それにケーブルがユニットの取り付け部分で回転できる構造になっているので最適なフィッティングを出しやすい上に、耳の中でしっかりと固定されるので同じBA型のSuper fi.5 Proの際にあった位置ずれがほとんどない。これは個人差があるとは思いますが僕にはジャストな大きさのユニットです。
参考までにアジア限定モデルの535LTDも聴き比べてみてどうしよ…。と。高音の伸びが更に良いのがLTDで中音域に厚みがあるのは535かなあ。LTDでもいい気もするけど色が好きじゃないしケーブルが白いのもどうかと。535はケーブルが1.6mだからちと扱いにくい長さだけどどうせリケーブルできるんだからどうでもいい気もするし…。
そういえば1月のニュースでiPhoneのライトニングコネクタに対応するリケーブルが純正で発売されるって記事を読んだ気もするなあ….。
LTDだと羽生結弦さんが使っているやつだよなあ。イヤフォン所持数50本を超えると噂されるオーディオマニアが選ぶモデルを買うのかどうするのか…。ちなみに僕の中の天使と悪魔の会話を再現してみましょう。

天使「イヤフォンに散財するのはほどほどになさいと常に申し上げております。」
悪魔「これを聴いて買わないとかお前は本当に無粋なヤツだな!」
天使「この戦いに終わりはないのです。これを買ってもまた次の争いが貴方を待っているだけなのです。」
悪魔「戦いに勝ったヤツだけにしか見えない世界もあるんだぜ。」
天使「こういったモノを自制できない大人になってはいけません。」
悪魔「自制すればいいのか?じゃあLTDは我慢しろ。535でも充分に楽しめるぞ。」
天使「確かにひとつは自制されていますが…。買わない、という選択はないのですか…?」
悪魔「ここで折れておいた方がいいぜ。なまじ財布に金が入っているから他のモノで物欲を解消しようとすんぞコイツ」
天使「その可能性は否定できませんが…。」
悪魔「他の階でiPad ProApple pencilとか液タブみてたぞ。」
天使「タブレット沼!なんと危険なことを考えているのですか!」
悪魔「な、だからここでこれを買っておいた方が抑止力になるんだ。」
天使「抑止力ですか…。確かにそういう解釈もできるとは思われますが…。」
ヨドバシ店員「お買い上げ、ありがとーございましたー!」

泳いでるとこ、沼じゃないよ。きっと海だよ…。大海原。水平線が見えるよね。

まあ、こんなことがあったかどうかは別にして結局535を買ってしまいました。ついにメルキオールも承認しちゃった…。
ある程度は鳴らさないと正しい評価はできないんだとは思うんですけど、初日に聴いた段階でもかなりの高性能です。
これからある程度エージングをしていけば更に評価は上がることになると思います。

535自体は発売からかなり時間も経過していますので、レビューは溢れていますから取り立ててどうこうと書くつもりもなかったんですけど、
ここまでのイヤフィン履歴を振り返ってみると結構いろいろ使っていることに気がつきましたので今回はこんな記事を一本書いてみました。
自分の買ったものを改めて確認してみるとその時にどんなことを考えて買ってたのかを思い出せて、なかなかに楽しかったです。
この上になってくると相当の覚悟が必要になってくるのでさすがに簡単に買うことは無いんじゃないかなあ〜っと。
祈りなんだか願いなんだか諦めなんだかよくわかりませんが、今日のところはここまで。

よければまた観てくださいね。それではこのあたりで。merci ♪

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