2020-02-10

WANDSの新曲「真っ赤なLip」新しくも懐かしい気持ちになれた話。

Music acts like a magic key, to which the most tightly closed heart opens.
音楽は最も固く閉ざされた心を開けるための魔法の鍵のような役割を果たす。
Maria Augusta von Trapp

久しぶりにヘビロテしてしまう音楽に出会いました。ヒットチャートや音楽番組などとは縁が少ない僕ではあるのですが、Twitterというのはそのあたりが疎い人間にも話題の音源というのは拡散されてくるもので、そのあたりは実にありがたいものです。

初めてそのアーティストの音楽を聞いたのはだいぶ昔の話。当時の僕は横浜は戸塚にあった職場の研修施設だった寮でした。慣れない環境でこれから始まる仕事がどんなものか。期待と不安が半分半分の落ち着かない気持ちで日々を過ごすなか、MDプレーヤーに入れていた音楽を繰り返し聴いていた時代が懐かしいです。

そう。まだMDプレーヤーの時代なんだよね。CDを買ってきたら一旦CDプレーヤーに入れて、オプティカルケーブルでポータブルのMDプレーヤーと接続して録音するんです。今みたいに曲名取得なんて一発でできないから、小さいディスプレイを見ながら上下左右のキーでポチポチ打っていくしかなかった、iPodなんて出るもう少し前の時代のおはなし。

右も左もわからないまま一日が終わって、退屈な寮で夜を過ごすとき。エヴァの碇君のように暗いベッドで繰り返し同じ音楽をリピート再生していた時期。落ち着く、というよりかは「明日は明日で頑張るか。」と前向きに思える応援歌みたいなものでした。

令和になってWANDSが再始動。というニュースを聞いたときに、平成に生み出されたひとつの大きなバンドが復活することを素直に嬉しく思いました。当時からB-ingに参入していたアーティストには良い音楽を作る方々がいたものです。B’zにT-BOLAN、大黒摩季、倉木麻衣。今はレーベルを離れてしまっているアーティストも多いですけど、その遺伝子は今でも脈々と受け継がれています。

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当時の初代ヴォーカルだった上杉昇さんの歌声は本当に良かった。声量、高音の伸び、安定度。おそらくこの時代でも屈指の歌い手だったのではないでしょうか。それに柴崎さんのギター、大島さんのキーボード。今でも一線で活躍する素晴らしい演奏家です。

音楽性の違いにより、ということもあったようでメンバーが袂を分ける時代があったこともありました。それでもこの時代に再始動できたというのは今でも音楽に携わってきた時間の重みがそれを可能にさせたのだろうと思います。

今回、再始動にあたっては新しいヴォーカルを迎えての体制となりました。上原大史さんという方を僕は知らなかったですのですが、ヴィジュアル系のバンドで実績のあるようです。(一応バンド名なども出ていて、ほぼ確定しているようですが公式ではないですね。)

ヴォーカルが変わるとやはりバンドの色合いも変わるよなあ。などとも考えていたのですが、実際に聴いてみるとそれは杞憂でしかないことがすぐにわかります。実に良い歌い手を迎えたものです。

「真っ赤なLip」はWANDSとしては約20年ぶりに書き下ろされた新曲。これまでの音源を歌い続けてきた流れとは変わり、上原さんが作詞を担当したこの曲、それでも聴いた瞬間に「ああ、WANDSだ…。」って思えるからすごいね。

ガツンとくるギターリフとメロディアスなキーボード。バンドが不人気な時代なんて言われるけど、そんなの関係ない世界観。ヴォーカルの音域も申し分ない。スリーピースバンドでも圧倒的なボリュームを感じることができるのがこのスタイルを貫いている彼らの本来の領分。戦い方をわかっているからこそ出せる音楽なんだと思います。

タイアップは「名探偵コナン」のOPなんだけど、タイトル通りにコスメ系のブランドCMで使われていても全く違和感がないぐらいにおしゃれ。一過性のCMに使われるBGMよりかはワンクールの人気アニメに使われた方が拡散性が高いのかな。何よりも若年層の世代にWANDSの音楽を聞いてもらえる機会があると考えるとファン層の拡大には貢献しそうです。

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こうして書いていて、過去を振り返ると思い出したことがあります。横浜での生活がただ孤独な夜を過ごしていただけではなかったんです。

研修で知り合った同期の中でおしゃれな友人ができて、ああだこうだ言われながらブティックで服を選んでもらったこと。夜のラウンジでワインを奢ってもらいながら、スカイラインGT-Rの燃費がいかに悪いか力説する走り屋の仲間の話をウトウトしながら聞いていたこと。

ちなみに僕の部屋はプレステ部屋でした。同期の中で唯一、ゲームハードを買い込んで持ち込んでいたのが僕だったので自ずとそうなったんだけど。最初はRPGだけ買っていたのですが、みんなで遊べるように「鉄拳」を買っていったらこれがウケたんだよなあ。狭い部屋にぎゅうぎゅう詰めになりながら休日の夜はワイワイしていたものでした。

僕は持ち主なのにそれほど上手くもなくて、だいたいボコボコにされていたけど悪くなかったんです。なんだかんだでお菓子やらビールはもらえたし、そこから始まったコミュニティもありました。まあ、世の中にはお人好しとお節介なのが結構いて、不器用な僕でも仲間の一員になれていたんだと今になれば思えるところもあります。

そもそも全国から集まった入社研修だけに、短い時間の付き合いでした。それっきり会う機会もないんですけど、とても濃密な時間を共有した仲間であることは間違いなかったかと思いますね。なんかもっとちゃんとできたら良かった。それはいつだって付き纏う「たら、れば」なんだろうけど。

生きていれば100万回でも200万回でも訪れる人生の「if」はいつだって不正解なんだ。 後悔先に立たず、っていうけどあれは本当だね。でも人間は完璧じゃあないから、そのジレンマまで含めて全部で「生きている」ってことなんだと思います。

WANDS 真っ赤なLipのアルバムジャケット

こんなことを書きましたが。長い年月、音楽を作り続けてくれるアーティストという方々はこういった古い記憶を呼び起こしてくれる、という点で本当に貴重ですね。ただ、聞き手側もきちんと聴かないとダメです。一過性の音楽をさらりと聴くだけじゃあ記憶には残らない。良いな、っと思った音楽は何度でも繰り返し味わうことで初めて人生の栞になるんじゃあないかと思います。

堅ッ苦しい研修の内容なんて、今となればほとんど何も覚えてはいないんです。でも、EASTBOYとロメロスペシャルとフルボディの赤ワイン。ぜんぜん真面目じゃあないことばかりが記憶に残っていて、それが一番楽しかったんだよなあ。

今回はこんな昔話みたいな記事ですが、読んでいただいている方にとって記憶に残る曲はなんですか?一度振り返ってみるときっと面白い発見があると思います。できれば古い方の記憶を掘り起こしてみることをおすすめしますよ。

おっと。表題にしていたWANDSの「真っ赤なLip」公式YOUTUBEでの配信がありますから、興味があった方はぜひ一度、ご視聴してみてはいかがでしょうか。

最後に。「服はね、着られちゃダメなんだよ。着るものなんだから。」って言ってた鴻江君。研修の最後、お別れの時に着ていたMELROSEの真っ赤なロングコート。それは多分、「着られちゃっている」と思ったぜ。着られちゃあダメだよ、君。

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