2014-05-21

映画WOOD JOB! -神去なあなあ日常- あの夏の日のタイムカプセル的面白さ。

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キサラギ@kisaragi_Virです。

ここ数日は過ごしやすい日が続きますけど福島は初夏が短いのがたまにキズで、すぐに真夏のような暑さがやってくるのが困りもの。まあ、そんな季節にはさっぱりと開放感のある映画など観るのもよいですね。

ということで開放感のありそうな映画など観てきました。今日は矢口史靖監督の最新作「WOOD JOB!」を楽しませて頂きました。結果から書いちゃうと思った以上にウルウルと涙腺を刺激される作品でしたよ。

 

映画『WOOD JOB!(ウッジョブ)〜神去なあなあ日常〜』公式サイト

 

 

進学に失敗したよくいるチャラい感じの主人公が破れかぶれで選んだ就職先が林業という今までに体験したことのない道を選んだことで始まる物語。実際のところがどれだけリアルなのかが僕にはわかりませんけど、都会から離れた陸の孤島みたいな場所でキツい体力勝負の仕事をするのがどれだけ大変なのか、というのをある程度想像させられました。

当然、最初は山奥に住む人たちとはなかなか相容れない関係から始まりますし、仕事だって全く楽しくない。スマホは圏外。身の回りは都会にはあり得ない危険がたくさん。何度も現状から脱走しようとするのですが、次第に周りの人たちとの輪ができて仕事に対する真摯さが芽生えてくるあたりがほのぼのと描かれていてよかったです。

メインのテーマになっているのはこの青年の様々な葛藤からの昇華、みたいなものが一番だとは思うのですが、僕達があまり普段目にする事がない、林業ってなんだろう。ということもひとつ勉強になりました。

都会ではあり得ないほどモノが無い場所で大自然を相手にする仕事がどういうものなのか。そしてその道の先人が残してきた山そのものがかけがいのない財産。それを守るということがどういうことなのか。なんとなく知ったつもりでいたけど、リアルには感じたことがなかったです。

それと、この世界観にはいまだに山の神様がいます。人々は神様の作りたもうた掟の中で生かされていて、それが当然のこととしてその社会に溶け込んでいるんですね。だから途中でちょっとだけ神様のお導き、みたいな演出があるんですけどそのあたりの観せ方がまあ、うまいなあ。と感じてしまいました。

村の男たちは華やかさこそないけど…

 

主人公の平野勇気役を演じる染谷翔太さん。僕はあまり彼の演じた作品を観た事がないのですけど、ヘタレな青年役を上手に表現しています。最初はどこにでもよくいるその日が楽しければそれでよし、イヤなことからはさっさと逃げてしまえば何か状況が良くなる。

そんな行き当たりばったりな感じの青年なのですけど、環境への順応能力があるのか、次第にひとつひとつの仕事が普通にこなせるようになっていく。そして伊藤英明が演じる怖い先輩である飯田ヨキにも次第に臆することなく接していくようになります。その姿が全部がかっこいいわけでもないんだけどなんか飄々と清々しいんです。

伊藤英明さんがいいですね。最初はとてつもなく獰猛な上官役です。所詮都会から出てきたひょろいガキがこの仕事を満足にできる訳もないとまともに相手もしないんですけど、次第に仲間として認めていくなかで時折見せる笑顔が特にいいです。

林業に携わる仕事をしている人を僕はリアルでは知らないけど、きっとこういう職人気質な人が日本の建築業界の根本の部分にはたくさんいるんだろうな、と感じます。途中で勇気を山の仕事をする仲間と認めるシーンがあるんですけど、ちょっとウルッとしました。

脇をかためるのも光石研さん、柄本明さん、近藤芳正さんと個人的には大好きなベテラン勢がしっかりとポイントをおさせていて安定感は抜群です。特に柄本明さんは出演しているシーンこそ少ないのですけど、存在感が抜群の村の会長さんを演じておられます。

小道具がちょいちょい、いい味を出します。

 

途中で出てくる小道具が僕はけっこう好きですね。矢口監督の遊び心、じゃあないのかもしれないですけど、使い方が好きです。マムシ酒とお弁当、ヤンキー仕様のタオル、道ばたに倒れたヤギ。おばあちゃんの入れ歯。いいアクセントになって笑えます。

個人的には勇気が自宅の両親に電話をするシーンがあるんですけど、そのときに使っている公衆電話。あれが好きですね。いま、あれを使う若い人ってどのくらいいるんだろう。普段はスマホしか使うことがないだろう彼が手に10円玉を握りしめて、電話の脇にうずくまりながら電話をする絵がよかったんですよね。なんか、その画面の前にある「これってどうやって電話すんの?」とか「マジで10円玉何枚入れる必要あるんだよ?」みたいな絵が見えるようで。

今のハイテク社会の逆をいくノスタルジーな世界観がそこにはあって、それが当たり前の村で生活をしていくことってきっとこういうことなんだろうなって思うんです。僕を取り巻く普段の生活が最先端の技術ばかりを追い求める社会だからこそ、こういう描写が多いこの映画が素敵なオブジェを詰め込んだタイムカプセルみたいに観えたんですよね。

 

オススメ度は…

★★★★☆ 星よっつで80点くらいでしょうか。ストーリーの尺も長過ぎず、短すぎずで丁度よかったです。作中多く出てくる山奥の森やローカル電車からの風景のカメラワークは観ていて心地よいですし、初夏のこの時期の封切りがまるで一足早く夏休みがきたような気持ちにさせられたのと、懐かしい学生時代最後の夏休みの記憶がリンクしてなんか嬉しくなった作品でした。

少しだけ今の仕事とか忘れてどっか遠くの山でゆるーく過ごしたくなっちゃいました。みなさんも映画館でちょっとだけ早い心の夏休みなどいかがでしょう。きっと楽しいですよ〜。 それでは今日はこのあたりで。

お読み頂きましてありがとうございました。

 

 

 

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