2018-12-02

LEICA M6 TTLで撮る。たけさんぽ東京ストリートスナップ。

ようこそ。Scriptaをご覧いただきましてありがとうございます。
キサラギ@kisaragi_Virです。

先週に開催された東京での写真撮影のイベントに参加して参りました。
なにやら東北からは僕だけだったようですが…。

書き始めたらかなりのボリュームになってしまい時間がかかりましたが、それなりに見応えのある内容になったんじゃないかと思います。今回はレポート風にまとめてみました。慣れない書き方ですが楽しんで頂ければ幸いです。



写真ですが…。細長いのがLEICAで、四角いのがGRⅡです。あとはなんとなく察してください。

それではどうぞ。

Chapter.1 たけさんぽ東京 ー夜明け前ー

11/24 AM 5:00 KAJIBASHI

2018年11月24日。僕の朝はまだ太陽が昇る前の未明から始まった。東京で行われる大型フォトウォークイベント「たけさんぽ東京」に参加するためだ。正確には深夜の高速バスに飛び乗った前日の夜から行動は始まっている。

「たけさんぽ」とはこれまでにの数回、主に関西方面で主宰のたけし氏によって行われている、カメラ好きが集まって街中をブラブラと歩き回り写真を撮り歩き、時として食事をとり、酒を飲み、大いに楽しむイベントのことで僕も風の噂には聞いていた。

Twitterのタイムラインに流れてきた情報から少し前に東京で開催されることを知り、エントリーしておいたのが9月。それから2ヶ月後の先日、遂にその日を迎えることになった。懐にはLEICAM6 TTL、レンズはズミクロン35mm F2 ASPH、ポケットにはRICOHGRⅡ。装備はこれだけだ。

地元を深夜に出発した高速バスを降りたのは東京駅鍛冶橋。この季節の午前5時はまだ夜の帳が上がらない。気温が低ければどこかの屋内施設で暖かくなるまで過ごすかと考えていたのだが、思ったほど寒くもないのでしばし歩くことに。この時間から僕の「さんぽ」が始まることになる。

11/24 AM 6:00 TUKIJI

鍛冶橋を背に南に進路を取る。この時間から多くの人がすでに動いている場所を僕は知っている。中央区は築地。最近築地市場の移転問題で話題になった場所でもあるが、場外市場は普通に機能しているので日が昇る前から商売人たちの準備は忙しい。

雑踏のなかで街が開いていく様子をボウっと眺めているのが好きだ。暗かった街に次第に電灯が点き、シャッターが開く。その前をターレットトラックが狭い道を器用にスイスイと進んでいく姿は街というカンバスを彩る筆のように思える。

なんとなくそんなものかもしれないが、高速バスで長時間揺られてくると大して動いているわけでもないがとにかくお腹が空く。いかに大都会東京といえど、朝の早い時間からフランチャイズ以外で美味しい食事にありつくのは少し、いや、だいぶ難しい。

しかし築地はその辺りが実によくできていて朝早くから働いている人たちに向けてなのか、早朝早い時間から新鮮な食事をいただくことができる。東京駅から少し離れるがわざわざ足を運ぶのはこのあたりも理由だったりする。

しばらく歩いていると次第に空が明るくなってくる。事前の天気予報の情報は雨だったり晴れだったりと安定せず、最後まで不安の残る予報が続いていただけに、この日の夜明けで今日の運命が決まると言ってもよい。

11/24 AM 7:00 HONGAN-JI

一旦、築地市場から離れる。少し見晴らしの良い空を見たいからだ。信号機ひとつを渡り東へ。親鸞聖人で有名な浄土真宗の寺社「築地本願寺」に足を運ぶ。本願寺といういかにも日本的な名前と一見するとインド風の建物の取り合わせが印象に残る場所である。

「未明」明け方に空が白み始める前の時間帯。

「黎明」夜明け。明け方。

日が昇り始めるともう一度築地に戻る。街が大きく動き出す時間だ。早くも外国人観光客が現れ始める。撮り歩きをしながら午前7時ぐらいになるとようやく僕にとっての朝食の時間である。

基本的に何を食べても美味しいのが築地ではあるが、毎回行くと食べているのが「丸武」の卵焼き。一個100円。卵が美味い、というか出汁が上品なのである。あとは作りたてが出てくるのがよい。

撮り損ねたが「吉澤商店」のメンチカツも美味い。350円で松坂牛の旨味を存分に味わうことができる。脂が甘い、というと安直な書き方かもしれないが実際そういう感覚なのである。口の中でほろほろと肉が溶けていくのが楽しい逸品。

定番ではあるが寿司も食べる。毎回どこ、と決まっているわけでもないがカウンターの綺麗な「すしざんまい」を利用していることが多いような気がする。寿司屋というのはマナーが難しいところで、年季の入った職人さんが目の前で握っていると写真など撮りにくいものだ。

ここでは以前に利用した時に給仕してくれた若い職人さんが握ってくれた時の写真で参考とさせて頂く。実に気さくな方で僕が写真を撮り歩きしていると聞いて撮ってもいいですよ、と仰って頂いた。

寿司ネタは光り物が好きなので鯵、鯖、小肌などを選ぶ。鮪などはそれほど食べない。それでも一、二貫食べると「ああ、美味いな。」と感じるのは日本人のDNAに刻まれた旨味なのかもしれない。

食事を終えたあたりですっかりと夜は明け、東京の街は朝の顔を現す。ここから集合時間の11時までにゆっくりと東京駅の丸の内口まで向かうこととする。幸いにも天気は晴れわたり、良好な撮影日和になりそうである。

11/24 AM 8:00 GINZA

銀座、歌舞伎座。いつも前を通るだけだが日本人ならいつかは鑑賞したいものである。

同、銀座。リコーイメージスクエア銀座。銀座和光の向かい側。GRDⅢ、GR、GRⅡと3代に渡ってお世話になっているので少し親近感がある。今度のGR3はどうしようか。

銀座四丁目交差点を東へ。俗にいう「銀ブラ」であるがこの時間はどこも開店していないので人の足はまばら。朝の空気が心地よい。何枚かショットしながら京橋方面へ向かう。

いつも賑わうAppleStore GINZAも開店前。静かな佇まいである。道すがらカルティエのディスプレイが気になって一枚。本当なら偏光フィルターを持っていればもう少し良く撮れただろう。

東京メトロ京橋駅のある交差点を北に進めば鍛冶橋。これでちょうど東京駅の南側をぐるっと一周したことになる。八重洲口に入るのも悪くはないが、ここは東京駅のガード下から丸の内方面に向かうのが上策である。

11/24 AM 10:00 MARUNOUTHI

「東京国際フォーラム」東京駅近くで天候に左右されない撮影スポットと言えばここ。ただ、今回は工事中なのか上まで上がることができず。開放感のある空間だがいつ来ても建造中の豪華客船のようである。

「KITTE」東京駅に隣接する郵便局のビル。入ると目についたのが吹き抜けに置かれた純白のクリスマスツリー。上からの視点も見てみたいが2F以降の営業時間は11時からとのことなので後ほど再アタックを予定する。

ここまで5時間。食事以外はほぼ休まず歩いていたが、無事に集合予定地の丸の内入りしたのでここでひと休みをすることに。丸の内口地下の喫茶店にて熱い紅茶を淹れてもらって、くつろいでいると頭上の広場に早くも参加者が集まり始めているらしい。初めてのイベントでも手に取るように人の動きがわかるという点でSNSがある世の中は本当に便利だ。

Chapter.2 たけさんぽ東京 全員集合

11/24 AM 11:00 TOKYO-STA

ここにきてついに「たけさんぽ東京」のスタートである。総勢70名とは大規模なイベントとなった。全部で10個のグループに分かれて、それぞれにフォトウォークを楽しんだのち、18:00までに秋葉原の宴会場まで戻ればよい。その間の各班の行動は自由である。

流石にこれだけの人数が集うと様々なカメラが持ち込まれるものである。なかでもFUJIFILMのミラーレスは人気が高い模様。世間的なシェアとブロガー界隈の人気とが乖離しているのが面白い。LEICA M3を数台、二眼レフを一台確認、ハッセルブラッドもある。まあ、なんでもありだ。

僕はBloggers Tea Partyというグループに所属しているので、当日もメンバーの皆様とお会いすることができてよかった。所属する8班は僕を含めて顔出しのないメンバーが多いグループ。なのでこの記事でもポートレートがないことはご容赦頂きたい。

とりあえずここで「移動中の約束」を主宰のたけし氏から案内される。まあ、常識ある大人の行動をしなさい、ということなので何の問題もない。合わせて当8班のメンバー、abc氏が持ち込んでいた広角レンズを使って全員を集合写真を撮ることに。

abc氏においてはその後の移動中に撮った写真をチェキプリントにして参加者全員分のプレゼントを用意する、というサプライズを用意して頂いた。大変に感謝すべきことである。ここに改めて謝意を述べさせて頂きたい。

11/24 PM 0:00 SIN-MARU BLDG

8班の最初の行動はまず食事からとなった。真向かいにある新丸ビルの地下一階、カジュアルワインバルMITAN(ミタン)でランチとすることに。ハヤシライスやパスタなどおもいおもいのメニューでオーダーしている。この先は体力勝負だと判断したので僕はリブロースステーキでエネルギー補充をすることにした。ステーキなど久しぶりであるが食べればなかなかに美味い。

ここでリーダーのスズキ氏を含めて全員の自己紹介を済ませる。ほぼしゅふ氏、KazuKi氏、ヒロ氏、先に書いたabc氏と僕ということになる。この班でもカメラはFUJIが強い。フィルムカメラは僕くらいであろうか。KazuKi氏の所持カメラはLEICA M10。憧れの逸品である。

食事をとりながら移動の予定を決めていく。とはいえあらかじめ移動するルートは決めてあったのであとは具体的な手段の確認である。まずは東京駅を出て西へ。原宿方面を目指すことに。

11/24 PM 1:00 HARAJUKU

ストリートスナップをここから一気に撮り続けることになるのだが、そのスタートが若者の街「原宿」からとなる。折しも三連休の二日目ということもあるのだとは思うがやはり人口密度が高い。

ここ原宿が起点になった理由は「DESIGN FESTA GALLERY WEST」を目指すためだ。人通りの少ないルートもあるようだが、最短ルートは竹下通りを突っ切ること。ジェネレーションギャップを感じつつも直進する。

意匠的なデザインの洋服店が多い。最先端のファッションがここに集結しているのだろう。チーズドッグやTotti Candy Factoryのような超巨大わたあめのようなインスタ映えする食べ物も多い。それを求めに来る多くの人々がこの風景を作り出している。そんな世界観を切り撮るのもフォトウォークの一つの醍醐味である。

DESIGN FESTA GALLERY WESTはそんな世界の片隅にこじんまりと佇んでいた。ここでは建物よりも、そこに描かれたポップな壁画アートが気に入った。こういうものが街に溶け込んでいるのが東京という場所を羨ましいと思う所以。

ちょうど中古カメラ市も開催されていたのでしばし面白いレンズがないかと眺める。ついでにフィルムが入ったガチャガチャがあったので500円で一回、回してみる。LomographyのISO400が出てきたが500円相当とのことでまあ、順当な成果だった。

11/24 PM 2:00 CAT STREET

ここから歩いて原宿、表参道から渋谷方面へと進むことに。普段、表参道は東西の方向に移動することはあるのだが、南へ抜けるルートを移動することがなかったため初めての場所となる。人気のパンケーキ店やロブスターを出す有名店があるそうだ。人生において「今日はロブスターを食べよう。」と思ったことなどないので別世界に住む人たちの街である。

原宿に比べてスペースが広く、個性的な店舗が並ぶ。遊歩道としては実に快適で、ハイセンスな街並みだ。途中でライブペインティングをやっている人がいたりと見ているだけでも楽しいものがある。

普段よく聞く名前のブランドショップもこういう場所にあると佇まいが違う。まるでロンドンの街並みの一部が移ってきたような。そんな印象の建物。

都心に出てくると羨ましいのは、こういう何気ない路上でもアート作品がきちんと成立していること。額に入った訳でもロープで仕切るでもなく「普通」に存在している。地方はもっとこういう文化に寛容であっても良いと思うのだが。

キャットストリートの最後はシボレーのショップ。Camaroがオープン展示されていて、スーパーカーというのはいつだって男子の心をくすぐるものだ。ちょうど他の班の情報も入ってくるなか、デジカメを現地調達する猛者が現れたという面白い情報が入ってくる。

当班でも成り行きでCamaroを買って秋葉原に乗り付けたら伝説になれる、という意見が出たものの流石に500万円は冒険するには無謀であるため実行には至らなかった。

11/24 PM 3:00 SHIBUYA HIKARIE

渋谷へ向かったのならやはり抑えるべき撮影スポットはスクランブル交差点である。1日に最大で約50万人が通行する世界有数の交差点にして人種の坩堝。ここを写真に収める場合、通行中を撮り歩くパターンと高い場所から俯瞰する方法がある。

メンバーで検討した結果、後者の俯瞰する方法を選択することに。そうなれば登るべき場所の候補は渋谷のランドマーク、ヒカリエである。エレベータで11階まで登れば渋谷の街を眼下に臨むことができる。こうして人が流れるように移動する様を見るに、人もまた、街を流れる川のようなものだと感じることができた。

ヒカリエを降りたのち、スクランブル交差点というルビコン川を渡るか否かで意見が出たが、この川を渡ってしまうと帰ることができず次の予定に差し当たりが出るとの判断がなされたため、次の目的地である新宿を目指すこととなる。

朝から使っていたGRⅡがちょうどこのあたりでバッテリー切れとなり一旦充電モードに。こまめにwi-fi接続でiPhoneと繋いでSNS投稿に使っていたのが原因だろう。想定の範囲内ではあるので持参してたモバイルバッテリーで給電しておく。

11/24 PM 4:00 SINJUKU

このあたりから日没時刻との戦いとなる。山手線で新宿の街に降りたあと、日が落ちゆく都庁からの景観を眺めるルートと、歌舞伎町付近の歓楽街を巡るルートで迷うことになるが、都庁ルートは展望台が混み合う可能性が高いこと、ジャストタイムで斜陽を見られる可能性が難しいことなどを加味して歓楽街を選ぶことになる。

この時間からはISO400のフィルムしか装填していないLEICA M6には撮影の荷が重くなると思っていたのだが、後から現像してみるとデジタルとはまた違った解像の仕方をしていて実に面白い。無理なものは無理とばっさり露光不足にしてくるのでメリハリの激しい写真だが、かえってそれが雑多な新宿の路地裏の味わいに近い演出となった。

GRⅡは充電から復帰しないため、サブカメラをiPhone Xsに切り替える。今のiPhoneはやはり優秀で、この時間ぐらいの明るさであれば全く問題なく解像できる。普通に写真を撮るだけならこれだけでも十分に間に合うカメラだと再確認することに。

ちなみに8班もここでカメラ好きの聖地であるマップカメラ詣をしている。東京という場所はカメラ好きには最高の場所だと思う。地方では集まらないカメラ、レンズが一堂に並び、実際に手に取れるからだ。モノに触れることができる。それは選び手のセンスを磨くことになるだろう。

11/24 PM 5:00 AKIHABARA

新宿を後にした僕たちは総武線を利用して一気に秋葉原へ向かう。18時の集合までに若干の時間があるので会場付近の居酒屋で0次会を行うことにした。流石に1日中歩き回っているのでメンバーも疲れていることと1次会の会場が立食形式と聞いているので、その前に多少は座って休んでおきたい、というのが理由だったりする。

短い時間ではあるがビールと簡単なおつまみで乾杯をしてしばしくつろぐことに。ここまであまり水分を摂っていなかったので、このタイミングで飲むビールの味は格別である。ちなみにメンバー全員から首をかしげる評価を受けた「メロンの漬物」というメニューは多分、次に食べることはないのではないか、といった感じの珍味であった。

11/24 PM 6:00 FUKUMORI

0次会も早々に最終目的地である秋葉原のカフェ、フクモリへ駆け込む。今回はたけさんぽ東京のイベントのためだけに貸切となっているのだから凄い。すでに大部分の班が到着していたようで店内は人で溢れていた。落ち着いた照明の店内は70人のメンバーが入っても十分な広さがあり実に快適な環境になっていた。

M6はフィルムを切りよく撃ち切ってあったのと予想外にGRⅡが充電から目覚めないため、あとは食事と会話を楽しむだけにする。お洒落なカフェだけに洋風なメニューかと思っていたら炊き込みご飯や温かいお味噌汁など和の食事がメインとなっていて、冷えた体を温めるにはうってつけの品揃え。ビールで喉を潤し、旨き食事と写真のことばかり話す。贅沢な時間である。

途中から何を話したか覚えてないくらいではあったけど、楽しい時間というのはあっと言う間だったのは覚えている。なるほど、たけさんぽというイベントが盛り上がる原動力がここに集約しているのだと実感していた。またこの空気に帰ってきたい。そう思わせる力がこの空間には満ち足りているのだ。

11/24 PM 10:00 KANDA

打ち上げも無事に終わり、神田にとったホテルに引き上げる。荷物を全部おろして整理してから最後にもう一本だけビールを飲んで今日の出来事を振り返る。色々なことがいっぺんに起きたので一日が一日じゃないみたいだ。腕にしていたAppleWatchから今日のアクティビティを確認する。総移動距離、22.24km。消費カロリー、1,068Kcalはこの半年のベストを更新した。

ベットで微睡んでいたらいつの間にか寝てしまっていたのでそれなりに疲れていたのだろう。夜中に一回起きて気がついたぐらいなのだけどペットボトルの水を飲んで明日に備えることとする。そう。僕にはまだ明日がある。

Chapter.3 たけさんぽ東京 再起動

11/25 10:00 SINJUKU

たけさんぽ東京は昨日で終了だ。だからここからは僕だけの延長戦に突入となる。帰りの新幹線に乗るまでの時間が許すまでにできることをやってみよう。昨夜は早く就寝したため朝の8時には目が覚めた。ホテルで朝食を済ませると早々にチェックアウトをして、淡路町の東京メトロに乗る。行き先は新宿。朝の都庁展望台に乗り込もうという算段である。

天気は昨日に増して快晴。都庁まで向かう道も朝の日差しが眩しい。11月のわりには気温も暖かく過ごしやすい移動となった。何度も訪れてはいる都庁の展望台ではあるが、毎回持ち込んでいるカメラは違っている。だから今回はLEICA M6とGRⅡのために登ってきたようなものだ。カメラが変われば写る世界も変わる。

勝手知ったる展望台だけにパチパチと手短に撮影を済ませたあとは一旦新宿駅方面に戻る。たけさんぽとは別件の買い出しなどがあったので、それらを済ませながら駅に戻るルートに少し変更を加えて「思い出横丁」を通過することに。

この時間からもう一杯はじめている羨ましい方々を横目に何枚か撮影する。奇しくも写真を撮影している先客がいたようで、カメラの使い方を教わっている二人連れがいたのが微笑ましい。そのまま新宿駅東口経由で南へと進むことにする。

11/25 12:00 SHIBUYA

再びの渋谷である。昨日渡らなかったルビコン川の向こう側に用事があるのだ。古い顔なじみに会えることになっていたので少しだけ時間を作っていただいていた。その時間までは渋谷の街を散策することになる。この駅はいつも出口に迷う。だから必要もないのにまたヒカリエの前に降りてきてしまった。

ついでにと思い、一応もう一回ヒカリエの11階まで昇る。残念ながら昨日よりも日差しが強いことと、さらに変わった構図も狙えそうにないので早々に降りてきたのだが、ここでフィルムを装填した時に切ったシャッターで写っていた写真が少し面白い。全くの偶然だがこういう瞬間が撮れたのならばまるで無駄足でもなかったのだろう。

スクランブル交差点を渡る。今の僕の速度ではM6だと片道でシャッターチャンスは約3回。GRⅡでノールックなら更に枚数を稼げるが、ここはLEICAでのズミクロンの画質に期待したい。往復で5枚撮影したなかで、この旅で特に良い空気感の写真ができた。雑踏を行き来する人々の頭上、渋谷を象徴する巨大スクリーン「Q’S EYE」に写っているのはFUJIFILMのチェキを構えるTaylor Swift。撮っていた時には気がつかなかったが現像してから見つけた。面白いだろうか。

他にも撮った写真をあげていくがM6と渋谷の街は相性が良いように感じた。また別の機会にでも来る価値がある。その時にはまた新しい顔を見せてくれるだろう。ここはきっとそういった場所だ。

11/25 16:00 MARUNOUTHI

全ての用件を済ませて東京駅に戻ってきたのがこの時間だ。最後に残っていたやり残しはKITTEのクリスマスツリーへの再アタックをすることだけ。とはいえ新幹線の時間も迫っていたのでギリギリまで粘っていたものの人間焦ると良くない。

M6の方がピントが甘くなりボツが出る。そもそもKITTEの吹き抜けはレンズ的には広角の方が映えるので、結果28mmのGRⅡの画像に救われる。

11/25 17:00 TOKYO-STA

三連休の最終日だけあって、普段とは段違いの混み合いの東京駅である。それぞれに旅の思い出を持ってこの駅から出発していくのだから、ここはひとつ同じ仲間だと思って行列に並びながら「たけさんぽ東京」を振り返っていた。

「写真を撮る」ことだけにここまで集中できたのはだいぶ久しぶりのように感じた。もちろん東京には何度も来たことがある。カメラだっていつでも撮影することができる。しかし今だ僕の知らない東京がある。そしてそれを知っているメンバーがいる。

だから今までとは違う世界が見えた。おそらくだけど、僕一人だったら竹下通りを歩くことはなかったと思う。それは僕が持っている世界観と違いすぎるから。あの人混みには後ずさりするだけだっただろう。

それでも、いざ歩いてみればそこも東京の違う一面で、そこでキラキラと輝いている人たちの姿があった。みんな明るく元気だ。人が集まる場所には理由がある。パワーがある。東京という街はこういったスポットをたくさん抱えた場所の総称である。

シェイクスピアの作品のひとつに「マクベス」がある。四大悲劇のひとつとしても有名だ。そのマクベスの冒頭にはこんな一文があることをご存知だろうか。

きれいは穢(きた)ない。穢いはきれい。さあ、飛んで行こう。霧のなか、汚れた空をかいくぐり。

人間は誰しもきれいなもの(ホワイト)だけを求めているわけではない。時として人間は穢いもの(ブラック)を求める瞬間がある。人生というものは綺麗と穢いの両方を行き来する汚れた空(グレー)を生きることだ。ただ、最後に大事なのは汚れた空は「かいくぐる」こと。だから決してブラックに落ちてはならない。シェイクスピアの言葉はいつだって人生の毀誉褒貶というものを示すコンパスである。

この街はまさにその「綺麗と穢い」の縮図。だから面白い。例えば、ホワイトカラーの人種が集う超高層ビル群を擁した西新宿のような場所もあれば、怪しい客引きが屯する歌舞伎町の歓楽街はまさにカオスの吹き溜まりだろう。相容れぬふたつだがこれらはここに共存している。そして、そのどちらの世界も栄えている。それを求めるのが人だからだ。この極端なまでに鮮やかな対比を生み出している都市。その集合体こそが東京の本質ではないだろうか。

丸二日間の間、ひたすらストリートスナップを撮り続けていたわけであるが、全く飽きることなどなかった。むしろこの時間がもっと続けば良いとさえ思っていた。後ろ髪を引かれる思い、とはまさにこういうことだろう。東京を発つ新幹線から見える景色はいつもよりも魅力的であった。

Chapter.4 あとがき。旅の終わりに。

はい。という感じでまる二日分のレポートを書かせていただきました。いやあ。こういう文体で長いブログの記事を書くことがなかったものでうまいこと統一できずちょっとだけ苦労しましたが、なかなかに正確な記録を残すことができました。

これだけの大規模なイベントを無事に成功させた、たけしさんはすごい才能の持ち主ですね。集ったブロガーさんも実に魅力的な写真を撮る方ばかり。これだけのファンがついているなら、きっとこの先にもっと大きなイベントを作り出していくんじゃないかと期待しています。

参加者の年代層は20代から30代がメイン。ここまで武装できて後日譚を記事にできるブロガーが多いなら、どこかのカメラメーカーが協賛についてくれてもいいような気さえしますけど、どうなんでしょうw。

最後に感謝の言葉で終わらせて頂きます。主宰のたけしさん、当日同行してくださった8班の皆さん、そしてフクモリでお話をしていただいた参加者の皆様。大変お世話になりました。また、いずれかの機会にお会いするできることを信じて、僕も写真生活を楽しみたいと思います。

本当にありがとう。この記事を書き上げたいま、僕のたけさんぽ東京は目的地に到着できました。

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